NECパーソナルコンピュータが考える2020年のパソコン
パソコン(PC)内の人工知能(AI)が、利用者の好みや生活パターンを学習し、適切な助言をしたり関心が高いニュースを探し出してくれたりする。こんな秘書がわりのパソコンが現実になりつつある。NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が開発を進め、2020年までの完成を目指している。
同社は、米スタンフォード大が開設したシリコンバレーの著名研究機関「SRIインターナショナル」と連携し、日本語の単語や言い回しを解析できるAIを開発。PCの持ち主の趣味や関心事に関連した情報だけを画面に表示できるレコメンド(推薦)技術もAIで独自に完成させた。
これらの技術で、発言の意図まで理解して提案するようなAIを次世代PCに搭載することを目指す。例えば、オフィスでPCに向かって、漠然と「おなかがすいた」と話すだけで、食事の場所を探していると認識し、ネット検索履歴や家計簿ソフトの記録などからラーメン好きだと判断して近くのラーメン店を紹介する。深夜なら、帰宅を促す注意も表示する――といった具合だ。
米アップルのアプリ「Siri(シリ)」やグーグルの音声認識を使えば、天気や飲食店情報などの直接的な問いへの回答は可能だ。しかし、漠然とした問いで発言者の意図を理解するわけではない。
自然言語で対話するAI開発では、米グーグルが昨夏、意図を認識したうえでネットから必要な情報を探して表示する「グーグルアシスタント」を発表。12月には日本語対応も始めた。富士通も米マイクロソフトなどと連携し、意図を解釈できるAIを開発中だ。
AIの処理では、グーグルは外部のクラウド上に委ねるが、NECPCはPC内のチップとソフトウェアに担わせようとしているのが特徴だ。開発責任者の小野寺忠司執行役員は「個人情報をクラウドにつかませて良いのか疑問」と話す。
NECPCはまず、レコメンド技術を生かし、ベンチャー企業と連携して、商品に関心を持っている人だけに狙いを絞ってPCの画面に表示させるウェブ広告事業を1月から始めた。(山口博敬)