インタビューに答えるKADOKAWAの角川歴彦会長=東京都千代田区の同社
電子書籍配信プラットフォーム「ブックウォーカー」や「dマガジン」を手がけて出版界の電子化をリードするKADOKAWAの角川歴彦会長に、デジタル対応に伴って進めた変革について聞いた。(インタビューは2016年12月13日)
電子書籍、「黒船」に対抗 KADOKAWAの挑戦
――自社の電子対応の重要性をなぜ感じたのですか。
「2012年の8月、今は楽天傘下になったカナダのコボがまずうちに来た。10月に米グーグル。11月はアマゾンで、翌年3月がアップルかな。夏から春までの間に全社が日本に電子書籍を持ち込もうとして、協力を求めてきた」
――すぐに応じましたか。
「いや、条件をつけた。日本の出版界が標準にした文章を縦書きできるフォーマットで出すなら提供すると。僕は『これは電子書籍元年だ』と思い、いち早く3万点を電子書籍にすると、そこに投資しようと決めた」
――自らアマゾンのキンドルのようなハードを出したり、プラットフォーマーになることを考えたりしましたか。
「もちろん考えた。三つの選択があった。コンテンツを提供するプロバイダーに徹するか。電子書籍の専用ハードを出すか。それから、その中間になるプラットフォーマーになるか、と」
「自分からハードを出そうと考…