インタビューに答える幻冬舎の見城徹社長
文芸誌「小説幻冬」と、ネットを使った文芸投稿サイト「ピクシブ文芸」を同時に立ち上げた幻冬舎の見城徹社長に、電子時代の出版社の生き残り策を聞いた。(インタビューは2017年1月11日)
ネットで作家を発掘、本に 幻冬舎流「電子と紙の融合」
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――出版不況のなか、あえて昨年10月、「小説幻冬」を創刊し、同じ日に投稿サイト運営会社ピクシブと組んで文芸投稿サイト「ピクシブ文芸」を始めました。その狙いはどういうものでしょうか。
「まずピクシブ文芸に関して言うと、いまの時代は才能のある若い人がアニメやゲームやネットの世界、たとえばSNSとかね、そういうところに行く。一昔前までは文字の世界、まぁ要は小説ですよね。そういう文芸の世界にきたはずの才能がそっちに流れている」
「そこで電子の世界に行く才能を僕らは取りこぼしてはいけないな、と。これが今回やろうとした一番のきっかけです。それで、そのためには、ちゃんとした仕掛けをつくらないとダメだろうと思ってピクシブと組む。しかもテレビ朝日とも組んで、ピクシブ文芸大賞の受賞作品はウチで書籍化するとともに、テレ朝でテレビか映画になるかもしれないようにしたのです」
「早くも1800作品も応募があって、これって驚異的な数字なんです。3月末の締め切り時点ではたぶん3倍くらいになるでしょう。35年ぐらい前の、文芸誌が読まれていた時代でも、新人賞の応募は大体1千くらいでしたよ。それが締め切り2カ月前でこれだけ来ているというのは、電子で表現することがいかに日常に溶け込んでいるかがわかるよね。いまの人はスマホで小説を書いているんですね。今回は、そういう在野の才能をすくいとりたいんです。しかもそれを紙の本にするし、もしかしたらテレビドラマになったり映画になったりするかもしれない。こういう仕掛けは今までなかったでしょう?」
「やっぱり紙の強みは、本という一つの作品になるということです。本という物体になって世の中に送り出される。これが僕の考えた電子と紙の融合ですよ」
――なぜ組む相手にピクシブを選んだのですか?
「投稿サイトとして圧倒的ナンバーワンだったから。ナンバーワンと組まなければ意味がないでしょう」
――応募作品はどんな内容ですか?
「実はまだ見ていない。ネット…