指定暴力団工藤会(北九州市)が市民らを襲ったとされる一連の事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪に問われた元工藤会系組幹部の中田好信被告(41)の初公判が20日午前、福岡地裁(丸田顕裁判長)で始まった。被告は事件への関与は認めた上で、殺意は否認した。
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中田被告が関与したとされるのは①2012年4月、北九州市小倉南区の路上で福岡県警元警部の男性が銃撃された事件、②13年1月、福岡市博多区の路上で女性看護師が頭や胸を刺され負傷した事件、③14年5月に北九州市小倉北区の駐車場で男性歯科医師が刺され負傷した事件。いずれも、工藤会トップで総裁の野村悟被告(70)が指揮し、工藤会が組織的に事件を起こしたとされる。
このうち看護師襲撃事件について、検察側は野村被告が看護師の勤務先のクリニックで局部の美容手術を受けた際の出来に不満を持ったことが事件につながったとみており、公判で立証をめざす。
中田被告は罪状認否で、①と③の事件に実行役として関与し、②事件で実行役を送迎したことなどは認めた。一方で3事件とも殺意はなく、傷害罪にとどまると主張。工藤会の組織的関与についても否定した。