北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏が殺害された事件で、マレーシア警察は3日までに、重要参考人に指定していた北朝鮮の国営航空会社、高麗航空のキム・ウクイル職員(37)について、事件に関わった疑いで逮捕状を取った。カリド警察長官が同日、朝日新聞の取材に明らかにした。
正男氏は2月13日、クアラルンプール国際空港で実行犯とみられる女2人に猛毒「VX」を塗りつけられて殺害された。その場面を指示役とみられる北朝鮮国籍の男4人が間近で見届け、事件直後に出国。捜査関係者によると、キム容疑者は男4人の出国を見送っていたことが、監視カメラの分析で判明したという。
一方、キム容疑者とともに出国を見送っていた在マレーシア北朝鮮大使館のヒョン・クァンソン2等書記官(44)についても、警察は重要参考人に指定して行方を追っている。キム容疑者とヒョン書記官の2人は北朝鮮大使館内にかくまわれているとみられており、警察はヒョン書記官から事情を聴くため、マレーシア外務省を通じて北朝鮮大使館に文書で捜査協力を要請したという。(クアラルンプール=乗京真知)