東芝が、巨額損失を出した米原発子会社ウェスチングハウス(WH)について、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請を検討していることが分かった。東芝は損失の見通しを7千億円超と先月発表。だが、融資継続を表明した取引金融機関などから、追加損失リスクの排除を求める声が強く、東芝としても抜本的な対策に踏み切る方向になった。
米連邦破産法11条は、多額の負債を抱えて経営難に陥った企業がいったん債務を整理し、事業を継続しながら再建を目指す仕組み。将来の工事費用の増加など、WHに今後発生する恐れのある損失を、東芝から切り離す効果が期待できる。取引金融機関や東芝役員の一部から、米破産法申請を排除せずに抜本的な対策を求める声が出ていた。
東芝は、WHに対して約8千億円の債務保証を実施しており、WHが米国での原発工事を完了できず、電力会社への違約金が支払えない場合は、東芝が肩代わりする必要がある。東芝は米破産法を申請しても、原発工事を継続することなどで、東芝がかぶる損失は3千億円弱に抑えられるとみている模様だ。東芝は半導体事業の過半売却で1兆円超を調達する方針で、損失を穴埋めできる計算だ。
ただ、ほかの債権者との調整や支援企業探しなど、申請に向けた課題も多い。