光吉彩夏容疑者
大阪府高槻市で昨年7月、当時1歳の長女(2)に糖尿病治療などに使われるインスリンを投与し、低血糖状態にさせたとして、府警は8日、母親で准看護師の光吉彩夏(みつよしあやか)容疑者(21)=同市深沢町2丁目=を、傷害の疑いで逮捕したと明らかにした。長女は一時意識不明になった。調べに「事実が違う。インスリンは投与していない」と容疑を否認しているという。
捜査1課によると、光吉容疑者は昨年7月11日に高槻市内の自宅で、また同18~19日の間には長女が入院中の同市内の病院内で、長女にインスリンを注射するか飲ませるかして、いずれも8日間の入院が必要な低血糖にさせた疑いがある。
光吉容疑者は関与を否定したうえで、「(だれかに)インスリンを入れられ、低血糖になったことは私も准看護師なのでわかる」と話しているという。
長女は一時、集中治療室に入ったが回復し、今は児童相談所で保護されている。インスリンは正規の治療で得たものでないとみられ、府警は入手経路を調べる。乳児に投与すると、けいれんや意識障害を起こす危険があり、死亡につながる恐れもあるという。
長女は、光吉容疑者が「発熱によりけいれんを起こす」と病院に訴えたため、入院。その後、血糖値が急激に下がったのを不審に思い、医師が府警に通報した。院内の防犯カメラを確認し、長女の体調に異変が生じたころに病室に出入りしたのは光吉容疑者しかいないと判断したという。
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〈インスリン〉 血液中に含まれる糖を体の細胞に取り込む働きをするホルモン。食事で血糖値が上がると大量に分泌される。インスリンの分泌や作用が十分でないと、血糖値が慢性的に高い状態の糖尿病になる。逆に、インスリンが過剰になると意識障害や昏睡(こんすい)などを起こす危険がある。静岡県長泉町の病院では2015年4月、看護師にインスリンを過剰に投与された60代男性が8日後に死亡した。