北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件をめぐって両国が対立を深めている問題で、マレーシアのナジブ首相は8日、国交断絶の可能性を否定、事態打開のため交渉を目指す方針を明らかにした。北朝鮮がどう応じるかは不明だ。
特集:金正男氏殺害事件
「北朝鮮大使館の閉鎖はしない」。ナジブ首相は8日、国会で報道陣にそう述べ、北朝鮮との間で悪化した関係が、国交断絶にまで至る可能性を否定した。
北朝鮮は捜査が不当だとして協力せず、容疑者や重要参考人の北朝鮮人を大使館内で保護していると疑われている。両国は互いの大使の国外退去に加え、7日には相手国民の出国を禁じる異例の「人質」戦術を相次いで打ち出した。
だが8日、ナジブ氏の姿勢は一転した。北朝鮮から出られなくなった自国民11人について「拘束されず、外出も日常生活も可能。安全面の心配はない」とした上で、「北朝鮮の要求を知りたい。国交は、交渉窓口を持つために必要。我々は彼らと友好関係を持つ数少ない国の一つでもある」と歩み寄りをみせた。
11人の解放のため、これ以上…