認知症などで判断能力が不十分な人の財産管理を行う成年後見制度で、昨年1年間の後見人による不正の被害総額が約26億円に上ることが、最高裁のまとめでわかった。2015年の約29億7千万円より減少したが、最高裁は「不正防止の取り組みを引き続き進めることが必要だ」としている。
最高裁によると、被害件数は502件で、15年より19件減少した。弁護士や司法書士などの専門職による不正は15年に37件(被害額約1億1千万円)あり、件数では10年の調査開始以来最悪だったが、昨年は30件(同約9千万円)に減った。
成年後見制度は00年に始まったが、不正が相次いだため、12年に防止策として、必要なお金以外を信託銀行に預けておく「後見制度支援信託」が導入された。