32回の打ち上げに成功し、キャリアロケット「長征シリーズ」の打ち上げ回数が300回の大台を突破した。月探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側に軟着陸し、そして走行と探査を行った。北斗3号グローバルシステム中核ネットワークの構築が完了、極地観測船「雪竜2号」が初めて南極を航行、世界初のスマート高速鉄道「京張高速鉄道」が開通し運営を開始。中国の科学技術事業が昨年上げたこうした人目を引く成果には、高強度の科学技術経費の投入が不可欠だった。国家統計局、科学技術部(省)、財政部(省)がこのほど発表した「2019年全国科学技術経費投入統計公報」によると、昨年の中国の研究開発(R&D)経費は前年比12.5%増の2兆2143億6000万元で、4年連続で2桁台の成長となった。人民日報が伝えた。
R&D経費の高成長の裏側には、R&D経費投入強度(R&Dの対GDP比)の記録更新、投入の主体としての企業の地位の安定があった。
中国の昨年のR&D経費投入総量は前年比2465億7000万元増で、伸び率が前年より0.7ポイント増加した。R&D経費投入強度は前年比0.09ポイント増の2.23%で、過去最高を記録した。国務院発展研究センター革新発展研究部研究室の竜海波副室長は「これは社会全体が革新駆動型発展戦略の実施深化で高度な共通認識を形成していることを示した」と述べた。
国際的に見ると、中国のR&D経費投入強度は、先進エコノミーとの差をさらに縮めている。国家統計局社科文司の鄧永旭首席統計学者によると、中国のR&D経費総量は2013年以降世界2位をキープしている。R&D経費投入強度が着実に向上し、すでにEU15カ国の平均水準に迫っている。
投入の主体としての企業の地位が安定している。企業の昨年のR&D経費は前年比11.1%増で、全国R&D経費に占める割合が76.4%にのぼり、その成長に対する寄与度が68.5%にのぼった。うちハイテク製造業R&D経費投入強度は前年比0.14ポイント増の2.41%で、一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の科学技術投入強度を1.09ポイント上回った。中国マクロ経済研究院産業研究所工業室の付保宗室長は「困難なほどR&D投入を拡大し、モデル転換と高度化を貫くべきであることを認識する企業がますます増えている」と述べた。
R&D投入の高成長の裏側には、基礎研究が占める割合が初めて6%を突破し、地域発展戦略の顕著な成果があった。
基礎研究は科学技術革新の源だ。同「公報」によると、中国の昨年の基礎研究経費は前年比22.5%増の1335億6000万元で、伸び率が前年を大幅に上回る10.7ポイントにのぼった。R&D経費に占める割合は前年比0.49ポイント増の6.03%で、初めて6%を突破した。
地域発展戦略に顕著な成果があった。中国の東部・中部・西部地域の昨年のR&D経費は、前年比で10.8%、17.7%、14.8%増加した。中部・西部地域の伸び率がいずれも東部地域を上回った。エリア別に見ると、京津冀(北京・天津・河北)エリアのR&D経費は前年比で14.0%増、長江デルタは12.9%増で、長江経済ベルトのR&D経費は1兆元を突破し、前年比14.7%増の1兆562億5000万元にのぼった。
R&D経費の高成長の裏側には、財政による科学技術支出が1兆元を突破し、政策環境の持続的な好転があった。
財政投入が持続的に増加した。同「公報」によると、昨年の国家財政科学技術支出は前年比12.6%増の1兆717億4000万元。鄧氏は「中央と地方の財政による科学技術支出がいずれも高成長を維持し、科学技術革新力の向上に力強い支えを提供した」と述べた。
政策環境が持続的に改善した。科学技術革新活動を奨励・支持する国の各種政策がさらに実行され、政策効果が持続的に現れている。関連の調査結果によると、昨年の一定規模以上の工業企業のうち、66.0%が研究開発費税額追加控除政策、56.2%がハイテク企業減免税政策の対象となり、いずれも前年より上昇した。企業の前者への「評価する」は前年比2.8ポイント増の87.1%、後者は2.2ポイント増の88.9%。
大きく進歩したが、格差が残されている。鄧氏によると、中国のR&D経費投入強度は米日などのテクノロジー大国と比べるとまだ不十分であり、R&Dの量が多く質が低いという現象の改善が待たれる。鄧氏は「次の段階ではキーテクノロジーと中核分野への正確なサポートを実現するために努力し、各種サポート政策が確実に実行されるようにする。科学研究者の能動性と自主権をさらに高め、R&D産出の品質と効率を絶えず高めるべきだ」との見方を示した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年10月12日