防疫服に身を包み、殺処分のため鶏舎に向かう県職員ら(栗原市、宮城県提供)
宮城県内の養鶏場で初めて発生した高病原性鳥インフルエンザウイルス問題で、終息に向け栗原市の養鶏場では県職員らが24時間態勢で22万羽の殺処分と埋却を続けている。初日の24日未明に現場入りした農林水産部の室長補佐、丹野英司さん(46)が朝日新聞の取材に応じ、「これ以上感染を拡大させないという一心で取り組んだ」と振り返った。
■22万羽実感なく
第一報が入ったのは23日午後5時前。県庁分庁舎2階の自席の電話が鳴った。「鳥インフル発生の疑い。会議室に集合」。昨年、県内で野鳥から相次ぎウイルスが検出されていたので、「覚悟はしていたけど、やはりびっくりした」。
まだ、簡易検査の段階だが、高病原性という前提で殺処分の準備に入った。22万羽という数を聞かされても実感がわかなかった。
■防護服2枚重ね
24日午前1時ごろ、バスで作業拠点の栗原市の体育館へ。つなぎの白い防護服を2枚重ねで着て頭からくるぶしまで覆い、チャックや裾、手袋の隙間は粘着テープで目張り。顔はゴーグルとマスク。肌は露出させない。待機中、だれも口を開かず、静まりかえった館内は緊張感に包まれた。
午前4時過ぎ、コッコッコッと時折、鳴き声が響く鶏舎内で作業が始まった。
「殺処分係」を任された。4段のケージから「捕鳥係」が10羽ずつ詰め、運ばれてくる箱に二酸化炭素を注入する役だ。ボンベから伸びたホースのノズルを箱のふたに開いた穴に突っ込み、コックを開く。10秒で、バタバタと揺れる箱がおとなしくなった。