東京都調布市で2015年7月、小型機が墜落して川村泰史機長(当時36)ら2人と民家にいた鈴木希望(のぞみ)さん(同34)の計3人が死亡、5人が重軽傷を負った事故で、警視庁は29日、国の許可なく乗客から料金を徴収して飛行したなどとして、「日本エアロテック」(同市)と、同社の小山純二社長(63)=東京都福生市=ら2人、死亡した川村機長の計3人を航空法違反の疑いで書類送検した。
捜査1課によると、3人は2013年1月1日から墜落事故が起きた15年7月26日までに計7回、国の事業許可を受けずに有償で乗客を乗せ、チャーター飛行を繰り返したなどの疑いがある。1回の飛行で約10万~130万円を受け取っていた。小山社長ら2人は無許可飛行などを認めた上で、「航空法違反だとは知らなかった」と供述しているという。
同社の調布飛行場への届け出は、操縦者の技量を維持する「慣熟飛行」になっており、事故前にも慣熟飛行名目で東京・伊豆大島などを行き来していた。事故当日も慣熟飛行だったと説明していた。
ただ、捜査関係者によると、事故当日の乗客の1人は調べに、「現金を集めて飛行していた」と証言しており、同課は、実態は搭乗者が現金を支払うチャーター飛行だったと判断したという。小山社長は先月、取材に対し、料金を徴収しての飛行について「認識の違いだ」と話していた。
事故は15年7月26日午前11時ごろ発生。伊豆大島に向かう予定だった小型機が、調布飛行場を離陸直後に住宅街の民家に墜落し、川村機長と搭乗者の早川充さん(同36)、民家にいた鈴木さんが死亡。ほかの搭乗者3人と住人2人がけがをした。
同庁は業務上過失致死傷容疑でも捜査を続けている。