政府は30日、天皇陛下の退位をめぐる「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長=今井敬・経団連名誉会長)が22日に行った専門家ヒアリングの議事録を公表した。専門家4人のうち皇室史などに詳しい3人はいずれも、陛下の退位後の称号は「上皇」を主張・容認し、敬称は「陛下」で一致した。
議事録によると、本郷恵子・東大史料編纂(へんさん)所教授(日本中世史)は、歴史的に退位した天皇は「太上天皇」、略して「上皇」と呼ばれていたと説明。そのうえで、「『太上』は無上、至上という意味だ。天皇にさらに上がつくと上下の関係が出てしまうので、『上皇』で収めるのがいい」と述べた。
君塚直隆・関東学院大教授(英国政治外交史)は、「基本的に『上皇』『太上天皇』でよいのではないか」と提案。新田均・皇学館大現代日本社会学部長(神道学)は「譲位後の天皇は『太上天皇』、略せば『上皇』と称するべきだ」と主張した。
陛下の退位後、皇位継承順位第1位となる秋篠宮さまの称号について、本郷氏は「皇太弟」、君塚、新田両氏は「皇太子」が望ましいとした。