パレスチナ自治政府のアッバス議長が朝日新聞の質問に書面で回答した内容の要旨は次の通り。
パレスチナ議長、トランプ氏の仲介期待 中東和平交渉
トランプ氏、2国家共存こだわらず 中東和平で方針転換
【アラブ連盟首脳会議への期待】
アラブ世界が結束して、現在の困難な状況を含む全ての課題に取り組むことが重要だ。我々は(パレスチナの)若者に希望をもたらす必要があり、それはアラブ世界の核であるパレスチナと「永遠の首都」エルサレムの問題を解決することから始まる。アラブ連盟がイスラエルの占領に対する具体的な措置をとり、パレスチナの人々の不動の地位に貢献し、我々の世界的な努力を支援するよう期待している。
【エジプトやヨルダンなど近隣のアラブ諸国との協力】
両国とも和平プロセスの関係者だ。我々は両国を理解し、協力し、情報を共有し、選択肢や国際的なイニシアチブについて話し合っている。だが問題となるのは、どんな和平プロセスを話し合う前でも、和平をもたらすための正しい環境をつくることだ。イスラエルが植民地主義的な入植活動を続ける限り、それは不可能だろう。
【トランプ米政権との関係】
我々は今、米政権が第三者からでなく、我々から我々について聞いていることを喜んでいる。4月、米国の支援を受けて和平交渉をどう決着させるかの議論を続けるためにトランプ大統領と会談する。大統領の支援を受けて、イスラエルのネタニヤフ首相とワシントンでいつでも会談する用意がある。私の訪問準備のために代表団を米国に送る。
【トランプ米大統領が2月のイスラエルとの首脳会談で「2国家共存」に必ずしもこだわらず、「1国家」の可能性に言及したことについて】
(占領以前の)1967年時点の境界線を基本とした「2国家共存」による解決に代わるものはない。「1国家」の構想は、イスラエル政府の一部が聞きたかったものだが、世界のどの政府も受け入れていない。それはアパルトヘイト(人種隔離)体制だ。イスラエルはパレスチナ人と対等のパートナーになるだろうか。私はそうは思わない。彼らの構想はそういうものではない。我々が大事だと考えているのは、「2国家共存」による解決を図り、国際法に基づき、すべての問題について最終的な地位の合意をすることだ。