政府が開催を目指す大阪万博の概要
2025年に大阪での開催を目指す国際博覧会(万博)について、政府は11日、正式に立候補することを閣議了解した。今月24日にパリの博覧会国際事務局(BIE)本部に申請する予定。25年開催をめぐってはフランスも立候補しており、開催地は18年秋のBIE総会の投票で決まる。
特集:大阪万博、夢よ再び
世耕弘成経済産業相は閣議後の会見で「関係省庁とも連携して、オールジャパンで誘致活動に取り組みたい」と意欲を見せた。BIEの規定では、大規模万博は5年に1度だけ開催でき、実現すれば国内では05年の愛知万博以来、20年ぶりとなる。
経産省の報告書によると、開催テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。25年5月3日~11月3日に大阪湾岸部の人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)で開くことを想定する。入場者は2800万~3千万人、全国への経済波及効果は1・9兆円を見込む。
約1250億円と試算される会場建設費は国、大阪府と大阪市、経済界が3分の1ずつ負担することも確認した。経済界による約400億円の分担金集めは難航も予想される。これとは別に800億~830億円と見込まれる運営費は、入場料収入などを充てる計画だ。
政府は24日にBIE本部に立候補を表明し、官民でつくる誘致委員会から経団連の榊原定征会長と松井一郎大阪府知事も現地に赴く予定だ。BIEは来年11月に総会を開き、加盟国(現在168カ国)の1国1票の投票で開催地を決める。(伊藤舞虹、上田真由美)
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〈国際博覧会(万博)〉 産業革命時代の1851年にロンドンで始まり、現在は博覧会国際事務局(BIE、本部・パリ)の承認の下、国際博覧会条約に基づいて開かれる。都市ではなく政府が立候補し、開催地はBIE総会で加盟国(現在は168カ国)の投票で決まる。日本では1970年に初めて大阪で開かれた。88年の条約改正で5年に1度の大規模な「登録博」と、登録博の間に開かれる小規模な「認定博」に分類され、2005年の愛知万博は1回目の登録博だった。大阪が目指しているのも登録博で、次回は20年にドバイで開かれる。
■2025年大阪万博誘致の今後の流れ
17年4月11日 政府が立候補を閣議了解
24日 政府がBIEに立候補を申請
6月 BIE総会で概要を説明
18年初頭 BIE調査団が現地視察
11月 BIE総会で加盟国が投票し、開催地決定
20年7月 東京五輪
10月 ドバイ万博開幕
25年5月 大阪万博開催?
■府市・財界「全力で誘致」
政府が万博の大阪誘致を閣議了解したことを受け、大阪府の松井一郎知事は11日、「これまでの3年間、大阪・関西、ひいては、日本の成長を牽引(けんいん)するためには、万博の開催が必要という強い思いを持って取り組んできた。ようやく、ここまで来ることができたことを、喜ばしく感じている」とコメントを発表。大阪市の吉村洋文市長は記者団に「本格的な競争が始まるが、国、大阪府市、経済界が一致団結して万博実現を成し遂げたい」と述べた。
万博の開催をめぐっては、経済界が負担する400億円超の資金調達が大きな課題だ。誘致活動の中核を担う2025国際博覧会誘致委員会の榊原定征会長(経団連会長)は「今後の誘致活動は、国の威信をかけた戦い。日本が掲げるテーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』のもと、オールジャパンで必ず大阪で開催するという決意と覚悟を持ち、全力で誘致に取り組んでまいります」とのコメントを出した。