学校法人「森友学園」(大阪市)が小学校建築に対する国土交通省の補助金を不正受給した疑いが持たれている問題で、補助金申請の審査が始まる前、学園側が評価委員会の委員1人に複数回接触していたことがわかった。委員は審査に加わるのを辞退。補助金約5600万円が交付されたが、国交省は「評価に影響はなかった」としている。
特集:森友学園問題
補助金は、木材を活用した建築を推進するための「サステナブル建築物等先導事業」。学園は、建築費の金額が違う3通りの契約書を国や大阪府などに出しており、大阪地検特捜部が補助金適正化法違反容疑で調べている。
関係者によると、学園側が接触した委員は大学教授。2015年春ごろ、学園の籠池泰典氏や設計会社の担当者らが、木造建築についての助言を求め、その後何度か電話で様々な問い合わせをしたという。
学園は同年夏に補助金を申請。教授は「応援しているととられてはよくない」と審査に加わることを辞退した。朝日新聞が入手した国交省の事前審査の資料では、この教授は「関係者」とされ、項目ごとに「B+」や「C」などの評価を書き込む欄には無回答を示す「0」が記されている。
国交省によると委員会の評価を受けた後、補助金の交付を決定。約5600万円が学園に支払われた。国交省は「接触した委員は審査に入る前の段階で辞退しており、評価に影響はなかったと思われる」としている。
一方で、専門家が少ない分野では委員が助言を求められるケースは他にもあるという。学園側がどんな意図で教授に接触したかや、他の委員にも同様に助言を求めていたかは不明という。
国交省は今年3月21日に補助金を取り消し、学園側は全額を返金している。(赤井陽介)