改憲賛成の勝利を宣言し、集まった支持者に手を振るトルコのエルドアン大統領=16日夜、イスタンブール、杉本康弘撮影
トルコで大統領の権限を大幅に強化する憲法改正の是非を問う国民投票が16日に行われ、高等選挙委員会は同日夜、暫定結果として賛成が過半数を占めたと発表した。改憲を推進してきたエルドアン大統領は「統治制度における決定的な変革が国民によって決められた」と勝利を宣言。一方、改憲に反対する最大野党などは「投票に不正があった」として、票の数え直しを要求している。
高等選挙委員会は16日午後11時時点で、約59万票がまだ開票されていないが、賛成約2476万票、反対約2351万票で「賛成が勝利した」と発表した。最終票数は11~12日後に確定し、発表される。
アナトリア通信によると、17日午前5時(日本時間17日午前11時)現在、開票率99・97%で、賛成票51・41%、反対票48・59%。保守層が多い黒海沿岸や内陸部で賛成が多く、世俗派の多いエーゲ海沿岸部と少数民族クルド人が多い南東部で反対が多い傾向が出ている。
16日夜の大勢判明後、親イスラムの与党・公正発展党(AKP)のユルドゥルム首相は首都アンカラの党本部前で演説し、「国民は大統領制に許可を出した。国民の選択に従って未来をつくっていく」と述べ、エルドアン氏と同様に勝利を宣言した。
一方、改憲案に反対した世俗派の野党第1党・共和人民党のクルチダルオール党首は「憲法は社会の合意を定めたもの。投票者の50%が反対する『改正』は、社会の合意に基づくものではない」と訴えた。
共和人民党など反対派は、各投票所で係員が投票用紙に公式スタンプを押すことになっているのに、複数の投票所でスタンプのない投票用紙が見つかったと指摘。高等選挙委員会は「スタンプのない投票用紙も有効」との判断を示したが、反対派は「不正投票」と猛反発しており、今後の混乱要因になっている。
賛成派の勝利で最終確定すれば、改憲が実現し、首相を廃し、議院内閣制から、新たに大統領を行政の長とする「実権型大統領制」へ移行することになる。大統領は議会の信任を得る必要がなくなり、閣僚も直接任命する。また議会を解散できる一方、議会が大統領や閣僚を罷免(ひめん)するのが困難になるなど、その権限は大幅に強化される。
ただ、18条からなる改憲案の…