鉄鋼大手・新日鉄住金の前身、旧新日本製鉄から特殊な鋼材の製造技術が韓国の鉄鋼大手ポスコに流出した問題で、旧新日鉄が元社員を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の和解が成立し、3月27日付で訴訟が取り下げられたことがわかった。日本の技術流出をめぐって両国の鉄鋼大手の間で続いてきた一連の訴訟がこれで終結した。
新日鉄住金によると、旧新日鉄が研究、開発した「方向性電磁鋼板」の製造技術を元社員1人が不正に流出させたとして、2012年に不正競争防止法(営業秘密の不正取得)に基づいて提訴した。元社員側は今年3月までに流出の責任を認め謝罪した。
この訴訟とは別に、技術流出に関わった複数の元社員と進めてきた和解交渉でも、約10人が謝罪して解決金を支払った。解決金の総額など詳細は明らかにしていない。
旧新日鉄はポスコに対しても12年、約1千億円の損害賠償と鋼材の製造・販売の差し止めを求め提訴。15年に和解金300億円を受け取って和解している。(野口陽)