カナダ政府は29日、米トランプ政権が導入した鉄鋼・アルミ製品に対する高関税措置への報復として、7月1日から、米国からの輸入品に関税を課すと正式に発表した。米側の措置と同規模の、総額166億カナダドル(約1・4兆円)分の輸入品を対象にする。
中国、メキシコ、欧州連合(EU)などに続く動き。米国に高関税を課された主要な友好国は日本を除いて、いずれも米国への報復に踏み切ったことになる。
カナダ政府は、米側と同じように鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の関税を上乗せするほか、トマトケチャップ、オレンジジュース、ヨーグルトなどの食料品も報復関税の対象にした。ウイスキーなど、米与党・共和党の支持基盤を狙ったとみられる品目もある。
米国以外からの一部の鉄鋼製品に対しても、緊急輸入制限措置(セーフガード)も視野に入れた対応を今後数週間のうちに検討する。米国の高関税措置でだぶついた製品がカナダに流れ込み、値崩れが起きることへの懸念からだ。
米国の高関税措置は、鉄鋼などの流入が米国の安全保障を脅かすとの主張に基づく。カナダに対しては6月から導入された。カナダのフリーランド外相は記者会見で「カナダからの輸入品が安全保障上の脅威になるという主張は完全にばかげている」と改めて指摘した。(ワシントン=青山直篤)