記者会見で「東芝メモリ」への出資について話す産業革新機構の志賀俊之会長(左)=東京都千代田区
東芝が進める半導体子会社「東芝メモリ」の売却に向けた入札で、売却先の有力候補となっている米半導体大手ブロードコムに、政府系ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行が合流する案が検討されていることがわかった。中国・台湾への技術流出を懸念する政府の意向が働いている模様だ。日米連合ができれば、ブロードコムがいっそう有利になりそうだ。
日米連合案、技術流出の防止狙う 東芝の半導体売却
入札では、ブロードコムと米投資ファンドのシルバーレイクの連合のほか、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業、韓国の半導体大手SKハイニックス、米半導体大手ウエスタンデジタルの計4陣営が残っている。
関係者によると、経済産業省が主導して革新機構や政投銀がブロードコム陣営に参加。東芝メモリへの出資などの形で関与する。さらに、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)も同じ陣営に加わって共同出資する。一部の大手銀行は陣営に対して資金支援の準備を始めたという。
鴻海は3兆円近い買収額を提示。傘下のシャープのほか、米アップルにも出資を求めて攻勢を強めている。しかし政府は、中国に近い鴻海への東芝メモリ売却に慎重だ。こうした意向が反映され、米ブロードコム陣営で日米連合の案が出てきたとみられる。