東芝が進める半導体子会社「東芝メモリ」売却の入札を巡り、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の提案に米国での半導体メモリー工場の新設が含まれていることが分かった。買収後も積極的な投資を続ける意思をアピールする狙いがあるとみられる。出資の割合は8割程度を日米企業からとし、鴻海自身は2割にとどめる方向という。
関係者によると、鴻海はIoT(モノのインターネット)の普及で、スマートフォンやデータセンター向けに半導体メモリーの需要が急増していることを受けて工場の新設を提案。関連する人材が豊富な米国での建設を検討している。投資に積極的な姿勢を示すことで、入札を有利に進める考えとみられる。
また、日本政府が中国・台湾への技術流出を警戒していることを受け、鴻海は5月中旬にある2次入札には単独ではなく日米企業との連合で臨む方針だ。
取引先の米アップルや鴻海傘下のシャープなどに共同出資を呼びかけているほか、東芝の出資も一部残すことを検討している。買収の枠組みを多国籍にし、日本政府の警戒を和らげる意向がある。東芝が進める入札では現在、鴻海のほか、米ブロードコム、米ウエスタンデジタル、韓国SKハイニックスの計4陣営が候補として残っている。