産廃処分場予定地そばの沢で鳴くアマミイシカワガエル。のどの袋を膨らませ、美しい音を奏でる=いずれも鹿児島県奄美市
鹿児島県・奄美大島にある産業廃棄物処分場の建設予定地近くの森で、希少種のアマミイシカワガエルの生息が確認された。地元の環境保護団体の案内で本紙記者が撮影に成功した。
生息していたのは、島中部の「名瀬勝(なぜがち)の森」の沢。アマミイシカワガエルは6年前に新種と認定された島の固有種。黄緑の体に黒や金の斑点を持つことから、「日本一美しいカエル」とも呼ばれる。種の保存法に基づく国内希少野生動植物種や同県の天然記念物でもある。雄は「鳴囊(めいのう)」と呼ばれるのどの袋を膨らませて鳴き、雌を誘う。今は繁殖期。深い森の奥で「キョーッ」という鳥のような鳴き声を響かせている。
現場を案内した奄美自然環境研究会会長で自然写真家の常田守さん(63)は「あちこちで鳴いており、個体数の多さがうかがえる。重要な生息地の一つなので、大切に守らないといけない」と指摘する。
現場の沢は、近くの集落の水源となっている。3月に誕生した奄美群島国立公園の指定地域外だが、周辺では国の天然記念物の鳥ルリカケスやアカヒゲ、絶滅危惧種のランなども確認され、水源や自然への影響を懸念する住民が処分場建設への反対運動を続けている。処分場を計画する業者は「調査の結果、予定地に希少動植物は確認できなかった」としている。(外尾誠)