京都大学によるES細胞作製と利用の流れ
再生医療に使う胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をつくる京都大の研究チームの計画について、厚生労働省の委員会は19日、国の指針に適合しているかの審査を始めた。倫理面の手続きを中心に確認し、来月にも了承される見通し。計画は文部科学省でも審査中で、両省が認めれば、国内で初めて治療に使える臨床向けのES細胞が作られることになる。
申請した京都大ウイルス・再生医科学研究所の末盛博文准教授によると、計画では、不妊治療で余った受精卵の提供を受け、10年間に約20種類のES細胞の細胞株を作ることが目標。研究機関などにES細胞を提供し、患者の治療に使う研究や医薬品の開発などに利用してもらう。国立成育医療研究センターにも、ES細胞を作る計画を申請する予定がある。
ES細胞は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)と同じように筋肉や神経など様々な組織に変化できる能力を持つ細胞。国内ではiPS細胞による研究が先行しているが、欧米ではES細胞を使って、目の難病や糖尿病などを治す臨床研究が進んでいる。今回の計画には、再生医療の選択肢を広げる狙いがある。
ES細胞は作製過程で受精卵を…