準備工事をほぼ終え、掘削開始を待つ南アルプストンネル作業坑口付近。後方の山が保安林に指定されている=長野県大鹿村
リニア中央新幹線南アルプストンネル長野工区(長野県大鹿村)の建設工事で、JR東海が2月初めまでには着手する予定だった掘削作業がずれ込んでいる。現地の保安林指定を解除する行政手続きがJRの見立てより遅れているためだ。掘削開始は早くて4月になる見込みで、JRが予定している2027年の開業への影響も指摘され始めた。
長野工区の本線は8・4キロ。本線工事の前に3カ所の作業用トンネル坑口から掘り進め、本線につなぐ必要がある。JRは当面、小渋川坑口の作業を優先させる方針だ。坑口は急傾斜地のため、農林水産相から土砂流出防備の保安林に指定されており、樹木の伐採や開発が規制されている。JRは昨年1月に指定解除の申請を県に提出。その後、審査は林野庁に移った。
JRは昨年11月1日の起工式を控えた9、10月の2回、大鹿村で工事説明会を開いた。この時、工程について、坑口付近の作業場整備などの準備工事を経て「1月末か2月初めに掘削を始める」と説明していた。関係者によると、JRは、昨年末ごろまでに保安林の解除手続きが終わると見込んでいたとされる。
県は2月16日、林野庁の審査…