天皇陛下の退位を実現する特例法案をめぐり、衆参両院の正副議長は26日、政府が示した法案骨子を了承した。原案で法案名に入っていた「陛下」の文言が削除され、正副議長の「とりまとめ」に沿った内容に修正されたためだ。民進党も骨子を認める方針で、特例法案は今国会での成立が事実上、固まった。
骨子は26日、各党・会派に配布された。大型連休明けに開かれる正副議長と各党・会派代表者による全体会議で、特例法案の要綱を協議する。その上で、政府は法案を5月20日前後に国会に提出する見通しだ。
自民、公明、民進3党の実務者協議では、法案名の「天皇」の部分に「陛下」が加わった原案が示された。政府・自民党は「陛下」を加えることで、いまの陛下一代限りの退位と印象づける狙いだった。民進は正副議長とりまとめと異なると反発。正副議長が政府と調整し、最終的に法案名は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」となった。民進幹部は「これで納得だ」と周囲に語った。
骨子は特例法第1条で、天皇陛下が被災地訪問などの公的活動について「ご高齢になられ、今後これらのご活動を自ら続けられることが困難となることを深く案じておられる」と指摘。「国民はこの天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感している」と明記した。
皇室典範の付則も改正して、「皇室典範の特例として天皇の退位について定める特例法は、皇室典範と一体を成すものである」と記し、特例法案の根拠規定と位置付ける。
また、退位の期日は政令で定めると規定。政令を定めるに当たり、首相があらかじめ「皇室会議の意見を聴かなければならない」とした。このほか、退位後の天皇の称号は「上皇」、敬称は「陛下」とするなど、退位に伴う制度設計も盛り込んだ。
■特例法案骨子のポイント
●法案名は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」。骨子原案の「天皇陛下」を「天皇」に修正
●1条の退位に至る事情の中で、骨子原案では削除されていた「お気持ち」の文言を復活
●皇室典範の付則も骨子原案を修正。与野党合意にあった「特例として天皇の退位について定める」との文言を復活させ、退位の先例化に配慮