厚生労働省の受動喫煙防止強化策の対案を示した自民党たばこ議員連盟の野田毅会長(後列左から3人目)=3月7日、東京・永田町の自民党本部
たばこをめぐる永田町の論争に決着がつかない。2020年東京五輪・パラリンピックをにらんで政府が検討している受動喫煙対策を強化する法案について、自民党反対派の抵抗がおさまらず、事前審査ができない状態だ。今国会での提出に「黄信号」がともっている。
日本の受動喫煙対策「前世紀並みに遅れ」 WHOが視察
世界保健機関(WHO)の幹部から、飲食店を含む公共の場での完全禁煙を求めた文書を手渡された塩崎恭久厚生労働相。19日の衆院厚労委員会では、「国際機関からの正式な要請。今の案を下回らない水準でないと応えられない」と答弁した。いわば「外圧」を背に、妥協を許さない姿勢を示した格好だ。
厚労省は昨年10月、飲食店や職場での受動喫煙を防ぐため、罰則付きで屋内禁煙を義務化する改正案の「たたき台」をまとめた。2019年のラグビーワールドカップ日本大会と20年の東京五輪までに間に合わせようと、この時期に対策を「世界標準」に近付けることを狙う。
10年に国際オリンピック委員会(IOC)とWHOは「たばこのない五輪」の推進で合意。同年のカナダ・バンクーバー以降の開催地はいずれも、罰則付きで飲食店の建物内完全禁煙の規制を実現している。強制力はなく、実現しない場合に五輪が開催できないわけではないが、今月来日したWHOの担当者は、「日本は取り残されている」と指摘。たばこのない五輪を絶やさないよう求めた。
塩崎氏は「海外からの観光客らが意図しない受動喫煙に遭わないようにしたい」と訴える。海外では、49カ国が飲食店を含む公共の場を屋内禁煙とし、日本の現状はWHOの4段階評価で最低に分類されているという危機感が背景にある。
主に酒を出すバーやスナックは…