仏大統領選で各候補が得票1位だった県
23日のフランス大統領選第1回投票で、決選投票に進んだ独立系のマクロン前経済相(39)と右翼・国民戦線(FN)のルペン氏(48)への投票傾向は、地域でくっきり分かれた。2人の戦いがこじれれば、都市と地方の分断が深まる懸念がある。
マクロン氏は都市部で圧倒的に強かった。パリで得票率約36%。ルペン氏は約5%の5位だった。
反対にルペン氏が圧勝したのは北部エヌ県。約36%で、2位のマクロン氏の約18%の2倍の票を得た。
同県や北海沿いを含む数県では、前回2012年の大統領選で社会党のオランド大統領が1位だったが、今回はいずれもルペン氏がトップになった。炭鉱業の衰えで地盤沈下した工業地帯だ。構造不況に苦しむ地域でルペン氏が強い傾向がはっきりした。
北部を除けば、マクロン氏が1位の県とルペン氏が1位の県の分布は、従来左派が強い西部でマクロン氏、右派が強い東部と南部でルペン氏と分かれる。
一方、各県内の投票分布を見ると、やはり都市とそれ以外の差が顕著だ。
ルモンド紙によると、マクロン氏は人口10万人以上の全37市の得票率の平均が、24・01%だった全国の得票率を6ポイント上回った。かたや全国で21・30%だったルペン氏は、人口が多い上位10市のうち、FNの地盤である南部のニース、マルセイユ以外の8市で15%を下回った。(パリ=喜田尚)