記者会見する日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁=27日午後、東京都中央区の日銀本店
黒田東彦(はるひこ)・日本銀行総裁の記者会見での主なやりとりは次の通り。
特集:日銀・黒田緩和
――決定内容の背景は。
「今回、景気の総括判断を一歩前進させることにした。輸出も設備投資も緩やかな増加基調にある。輸出・生産を起点とする前向きな循環が強まっている。わが国経済は緩やかな拡大に転じていくとみられる」
――「2%程度」の物価目標達成の時期は。
「このところ携帯電話機など一部の耐久消費財やサービス価格で弱めの動きが出ているが、2%へ向けたモメンタム(勢い)は維持されている。多くの企業で4年連続の賃金のベースアップが実現する見通しで、賃金の上昇を伴いながら、物価が緩やかに上がる好循環が作用してくるだろう。2%達成は2018年度ごろになる可能性が高く、その後は2%程度で安定的に推移するとみている」
――大規模緩和の「出口」に向けた戦略を語る時期では。
「2%の物価目標を掲げているが、足元は0%程度の上昇率にとどまっている。(物価目標が達成できていないのに)出口戦略について話せば、市場の混乱を招く恐れがある。出口戦略は、出口にさしかかった時点の経済や物価、金融情勢によっても変わるので、具体的なイメージを持って語るのは時期尚早だ」
――人手不足は経済成長にマイナスでは。
「それはないと思う。個別の企業や産業が人手不足でビジネスの拡張ができないことはあっても、全体としては労働需給がひっぱくし、賃金が上がる。企業の省力化のための投資も活発になる。結果として経済成長率は高まる」
――北朝鮮有事の際の中央銀行としての対応は。
「地政学的リスクが顕在化した場合の対応だが、それはその事態がどういうものかによるので、一概には言えない。中央銀行は、いかなる事態にも対応できるように常に頭の体操はしている」(榊原謙、河合達郎)