ティラーソン米国務長官は27日放送のFOXテレビのインタビューで、中国が北朝鮮に対し、再び核実験を行えば独自制裁を科すと通告していたことを明らかにした。中国側が米国政府に伝えたという。北朝鮮が今月にも6度目の核実験に踏み切るとの観測があったにもかかわらず実施しなかったのは、中国側の警告が奏功した可能性がある。
トランプ大統領が今月上旬の首脳会談で中国の習近平(シーチンピン)国家主席に対し、北朝鮮への影響力を行使して挑発をやめさせるように求めており、中国側がこれに応えた形だ。1950年の朝鮮戦争で中国が義勇兵を北朝鮮に派遣して以来、中国にとって「血で固められた同盟」と呼ばれる存在である北朝鮮に対して、強硬策を示したことが明らかになるのは異例だ。
ティラーソン氏は、中国の今回の動きについて「我々と協調することを望んでいる」と評価。北朝鮮が核・ミサイルによる挑発をやめ、対話に応じるようになることに期待感を示した。また、28日にニューヨークで開かれる国連安全保障理事会の閣僚級会合で、加盟国が制裁の履行を徹底することで、北朝鮮に圧力を強めていく考えを示した。
一方、米太平洋軍のハリス司令官は27日、上院軍事委員会で証言し、中国の対北朝鮮への取り組みについて「これまでより前向きになっており、希望はある」と語った。ただ、中国の協力を頼りにできるかどうかを判断するには「まだ早い」とも指摘した。(ニューヨーク=峯村健司)