スピーチする丹野智文さん=27日午前9時25分、京都市左京区、楠本涼撮影
国境を超えて連携し、認知症に優しい社会に――。国際アルツハイマー病協会国際会議(認知症国際会議)の開会式が27日、京都市左京区の国立京都国際会館で開かれた。
「認知症支え合う社会作りを」丹野智文さんスピーチ全文
特集:認知症の国際会議
介護とわたしたち
日本での開催は13年ぶり2回目。約70の国と地域から認知症の人や医療や福祉の専門家ら約3千人が集まる。認知症当事者からの発表が多数あるのが最大の特徴だ。
開会式で、主催の「認知症の人と家族の会」の高見国生(くにお)代表理事(73)は「認知症の人も家族も、さらに生きやすく幸せになれる時代をともに作ろう」と呼びかけた。共催の国際アルツハイマー病協会のグレン・リーズ議長は「認知症が世界に重要事項として認識される時に来ている」と述べた。
開会式に続き、39歳のときにアルツハイマー型認知症と診断された仙台市の丹野智文(ともふみ)さん(43)が、スピーチに立った。昨秋にスコットランドに行き、多くの認知症の人たちと交流し、「自立している人は10年経っても元気で笑顔」との感想を抱いたという。「(症状が)進行していっても工夫することで、自分が困らないことを知っている」と実感した。
進行することに不安はありつつも、「サポートしてもらいながら、その時その時を楽しく過ごせたら、それが『認知症とともに生きる』ということ」。さらに、「日本は進行したときの支援はたくさんある。日本と世界の良いところを合わせることができれば、認知症になった人が幸せな世界になる」と語った。(十河朋子)