三井住友トラスト・ホールディングスは28日、2017年3月期決算の純利益見通しを、従来の1700億円から1210億円へ引き下げると発表した。保有する米国債の価格が下がったほか、東芝向けの融資で貸し倒れ引当金を積んだ影響が出た。東芝の経営悪化が、融資する銀行の経営にも波及している。
三井住友トラスト傘下の三井住友信託銀行の東芝向け融資は、3月末時点で1200億円程度とみられる。同行は東芝の経営悪化を受け、取引先の格付けにあたる「債務者区分」を「正常先」から「要注意先」に引き下げた。今回の決算で引当金を数十億円規模で積み増す模様だ。
また、東芝に1千億円超を融資する三菱東京UFJ銀行は、東芝の債務者区分を、要注意先の中でも一段低い「要管理先」に引き下げることを検討している。今後、貸し倒れ引当金をさらに積み増す必要が出てくる。
三菱UFJフィナンシャル・グループでは三菱UFJ信託銀行も東芝に融資している。関連する引当金はグループで数十億円規模とみられるが、債務者区分の引き下げにより百億円単位で膨らむ可能性がある。
東芝に融資する大手行では、三井住友銀行、みずほ銀行もすでに債務者区分を「要注意先」に引き下げている。(真海喬生、藤田知也)