東京電力ホールディングスが28日発表した2017年3月期決算は、2276億円の経常黒字となり、原発が動かなくても4年連続で黒字を確保した。ただ、膨らむ福島第一原発事故の対応費を支払っていくためには、一段の収益力拡大が求められる。
売上高は前年比11・7%減の5兆3577億円で、2年連続の減収だった。昨年4月の電力小売り全面自由化後、東京ガスやJXTGエネルギーなど新電力が家庭や商店向けに電気を売り始め、東電管内の契約の7・9%にあたる181万件を奪われたことが響いた。原油価格の下落にあわせて電気料金を値下げした影響も大きかった。
東電は今後、福島事故の賠償や廃炉に年5千億円の資金を30年にわたり確保する必要がある。17年3月期は賠償や廃炉費用に3100億円を回し、さらに2千億円を超す経常利益を手にできる計算で、一応は「条件」を満たした格好だ。ただ、燃料費が減った効果が大きいため、原油価格が高騰すれば収益は悪化する。
会見した広瀬直己社長は徹底した費用削減に取り組んでいることを強調しつつ、「利益を継続的に出すには原発再稼働が欠かせない」と話し、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に期待を寄せる。だが、米山隆一知事は厳しい姿勢を示しており、早期の実現はきわめて難しい。
この日は大手電力10社の17…