JCの埼玉ブロック協議会が私立大学で開いた国民討議会。法学部生が緊急事態条項と9条について議論した=27日、埼玉県加須市の平成国際大
2012年に独自の憲法改正草案を発表している日本青年会議所(JC)は4月中に、憲法改正の機運を高める「国民討議会」を全国66カ所で開いた。30日までに約2500人が参加。終了後の参加者アンケートでは、改正に賛成の意見が増えているといい、「成果」を強調している。
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JCは、第1次安倍政権の発足を前に05年から憲法改正運動を始めた。日本会議系の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の共同発起人でもある。06年には草案をつくり、12年に改正して公表した。当時は「自主憲法制定」を目標にしていたが、第2次安倍政権で憲法改正が現実味を帯びてきたとして、改正項目をしぼる運動に転換。具体的な改正項目を知ってもらう討議会を初めて開催することにした。
テーマは、緊急事態条項の創設と9条に自衛隊を位置づけることの2点。冒頭で、自民党議員と共産党議員のインタビューを放映し、5、6人のグループに分かれて賛否を議論し、発表する形式とした。
JCがまとめた参加者アンケートによると、「現行憲法に緊急事態条項を創設すべきだ」「現行憲法9条に自衛隊について明記すべきだ」について、参加前は「どちらともいえない」と回答した人が、参加後には減少し、「思う」「やや思う」が増えている。JCの憲法改正草案には、「非常事態」や「軍隊の保持」が明記されている。JC・憲法輿論確立会議の樋口陽平議長は「意見の誘導にならないようなルールを決めて進行した。改正が発議されたとき、メディアの意見に流されず、自分の意見で一票を投じる人を増やしたい」と話す。(杉原里美)