昔の写真を眺めながら、思い出を語り合う長谷川真知子さん(右)と佐藤誉子さん。アロマセラピーが共通の趣味だということもわかった=愛知県江南市、川津陽一撮影
「名前を呼ぶこと」。2年前の5月、朝日新聞名古屋本社版の生活面「ひととき」欄に、そんな題の投稿が載った。
書いたのは愛知県江南市の長谷川真知子さん(69)。長年、小学校の教員として教壇に立ってきた。
43年前の新学期。始業式での点呼のあと、ある女の子がにこっと笑って言った。「あのね、一番最初から私の名前ちゃんと読んでくれたの、先生が初めて」。以来、名前を正しく呼ぶことを教員生活のなかで大切にしてきた――。そんな内容で、最後に女の子の名前をあげて、「元気にしていますか」と呼びかけた。
東京都世田谷区に住む佐藤誉子(ようこ)さん(52)は、知人を通してこの投稿を知り、当時の気持ちを思い出した。
小さいころから名前を正しく呼ばれたことがなかった。保育園の卒園式で「たかこ」と間違われ、小学校に入学した後も「何て読むの」と、いつも聞かれた。だから、小学4年の始業式で、先生が「ようこさん」と、すっと名前を読んでくれたのがうれしかった。
「先生に会いたい」。連絡をとった。
今年4月、2人は再会した。場…