最後の入浴を楽しむ人たち=気仙沼市魚町1丁目
宮城県気仙沼市の漁港そばで131年にわたって愛されてきた銭湯「亀の湯」が6日、営業を終えた。津波の被災を乗り越え、人々を温めてきたが、一帯でかさ上げ工事が進められることになり、続けられなくなった。
創業1886年。漁から帰った漁師が立ち寄り、汗を流し、情報交換をした。「なくちゃならない場所だった」と地元の船長、千葉和則さん(60)はいう。6年前の震災で営業休止に追いこまれたが、2012年7月に再開。その後、周辺の復興工事が決まった。
最後の日も、亀の湯はいつものようににぎわった。
「別れづらいねぇ」「これからは楽をしなよ」と声をかけられ、4代目店主の斉藤克之さん(75)は「人生はあっという間だね」。地元の女性客は「津波がなかったら、もっとやれたのに」と話した。
午後7時前。斉藤さんと妻ちか子さん(70)がお礼のあいさつをし、「ゆ」の字ののれんを下ろした。(山本逸生)