中国の古生物学者が江西省贛州市で出土した恐竜の化石を研究したところ、これは成体、胚、卵を同時に留めている世界的にも珍しいオヴィラプトル孵卵化石であることが分かった。新華社が伝えた。
これらの化石は今から約7000万年前の地層から見つかった。成年の個体のオヴィラプトルは全長が約2メートルで、前足が後ろの下方向に曲がり巣の上に覆いかぶさる。後ろ足は前に向い曲がり、体全体が巣の中心に位置する。これは現代の鳥類の卵を温める姿勢と一致する。巣には卵が24個あり、上下に3本の弧を描くように並んでいる。
論文の筆頭著者で、雲南大学古生物研究院教授の畢順東氏は「この化石は、オヴィラプトルが巣の上で卵を温める姿勢を示しているほか、さらに珍しいことに、巣には孵化中の胚が残されている。これはオヴィラプトルの抱卵行動と孵化方法を認識する最新の証拠を提供した」と述べた。
オヴィラプトルは獣脚類の恐竜で、今から1億2500万年前から6600万年前の間に生息していた。研究者はかつてモンゴル共和国と中国の内蒙古(内モンゴル)自治区のゴビ砂漠地帯で巣に身を伏せるオヴィラプトルの個体を発見していたが、巣に胚の化石がなかったため、オヴィラプトルが卵を温めるという仮説が、長期的に物議を醸していた。
論文の連絡著者で、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の研究員である徐星氏は「オヴィラプトルは『非同時孵化』という、現生の鳥類としては比較的進んだ卵を温める方法を持っていた。恐竜の生殖方法はこれまで認識されていたよりもはるかに複雑と言える」と述べた。
雲南大学、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所などの機関によるこの成果はこのほど、国際的な学術誌「科学通報」にオンライン掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年1月4日