心不全の患者が通院せずに自宅でリハビリができるシステムの臨床研究を始めると、大阪大の谷口達典特任研究員(循環器内科)らが8日、発表した。約10人で試した後、大規模な試験をして保険適用を目指すという。
心不全の患者や心筋梗塞(こうそく)になった人、心臓の手術後の人は、心肺や筋力を回復させて再入院や再発を防ぐため、心電図や脈拍を確認しながら歩いたり、自転車をこぐ動作をしたりするリハビリが有効とされる。ただ、週3回ほど必要で、医療機関でのリハビリが必要な患者は全国で40万人いるが、実際には1割しか行っていないという。
谷口さんらは、患者が心電図や脈拍を測る機器をつけて自宅で運動すると、タブレット端末を通じて随時、理学療法士や医師がデータを確認できるシステムを開発。遠隔から患者に合った運動負荷の増減を指示できる。患者は通院しなくて済む。
谷口さんは2年前、スタンフォード大と連携して医療機器の開発を担う人材育成プログラム「ジャパン・バイオデザイン」に参加。今年3月にシステムの販売を目的としたベンチャー企業を設立した谷口さんは「1年後に販売開始、2、3年後に医療機器としての承認を目指したい」と話す。(合田禄)