ニューズピックスの画面。「ピッカー」と呼ばれる識者による記事批評コメントも読者をつかむ手法になっている
ニュースアプリ乱立のなか、ニューズピックスは自社編集部の独自記事によって有料会員が増え、経営が黒字化した。ニュースが当たり前のように無料で読めるネット世界で、課金モデルの成功例となっている。海外展開も計画中だ。
「広告モデルのサイト、関心ない」佐々木紀彦編集長
独自の特集記事が売り物だ。例えば、盗用や不正確な記事がはびこったDeNAのサイトについて、1人の野心的な女性幹部に焦点をあてた内幕物「DeNA 歪(ゆが)みの遺伝子」(昨年12月、全11回の連載)。日本発を標榜(ひょうぼう)するLINEだが、実は韓国の親会社の影響が強いことを明らかにした「LINEの秘密」(昨年5月、全25回の連載)だ。
約200万人の無料会員はブルームバーグやロイターなど提携メディアの配信記事は読めるが、独自記事の多くは月額1500円を払わないと読めない。大手メディアが軽視しがちなITやベンチャーのニュースのニーズは意外に高い。そんな分野を狙うと一気に有料会員が増える。昨年暮れの有料会員は3万2千人。昨年12月期決算は売上高9億5千万円に利益2千万円を計上し、黒字化した。
創業者の梅田優祐取締役は経済情報データベースのユーザベースも創業し、同社を昨年秋マザーズに上場。ニューズピックスはその経済ニュース部門として2013年に設けられ、後に分社化した。
スマートニュースなど、ほかのニュースアプリは広告に依存し、記事閲覧は無料という場合が多い。無料が当たり前の世界で、梅田氏はあえて「コンテンツにお金を払う文化をつくりたい」と起業し、3年で黒字化してみせた。
月額1500円の値付けは、全…