「100万円の女たち」に主演する野田洋次郎
映画「君の名は。」の音楽を手がけ、一躍人気バンドとなったRADWIMPS(ラッドウインプス)のボーカル野田洋次郎が深夜ドラマに主演している。人気者にあやかった配役か?と思いきや、起用の背景にはある狙いがあった。(湊彬子)
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「話題性を狙ったのもあるが、俳優よりもシンガー・ソングライターのような表現者がいいと思った」。テレビ東京の五箇公貴プロデューサー(42)は言う。野田を、木曜深夜1時(金曜未明)に放送中のドラマ「100万円の女たち」の主役に起用した。
売れない小説家、道間慎(みちましん)役。自宅に素性の知れない5人の女性がやってきて、共同生活を送るというミステリー調の物語だ。
ドラマ初回は、食卓を囲むシーンから始まった。ビーフシチューの味を5人に責められた慎は目を泳がせ、「でも……全員に合わせんのは難しいかな」とつぶやく。父が母を殺したという過去を抱えた慎を野田が巧みに演じ、暗い部屋を舞台に進む物語に漂う不穏さにもはまっている。
小説家を演じるには表現者が適任と五箇さんは考えてはいたが、「狙った以上の影響を作品に与えてくれた」。ミステリアスな色気に加え、リズム感ある心地良いセリフ回しはミュージシャンならでは、という。
五箇さんは、星野源や浜野謙太などのミュージシャンともドラマの仕事をしてきた。「職業役者とは違う感性を使って演じている。周りの役者にも化学反応を起こす」と話す。
ドラマ初出演にあたり、野田もこんなコメントを出している。「右も左も分からない身であるからこそ、既存の枠にとらわれずに面白い作品ができるよう、前に前に挑戦していきたい」