靖国神社の能楽堂で歌う参加者たち。中央は「温知会」代表の岸保芳郎さん=13日午前10時28分、東京都千代田区、角野貴之撮影
明治期から戦後にかけて旧制高校の学生たちが歌った「寮歌」を伝承しようと、80代から90代までの卒業生ら約30人が東京・九段の靖国神社で13日に合唱会を開いた。「命がけのコンサート」と挑んだ舞台で、亡き友や次世代に向けて青春時代の曲を歌った。
呼びかけたのは、寮歌を研究している「温知会」代表の岸保(がんぽ)芳郎さん(92)=東京都練馬区。岸保さんによると、寮歌は旧制第一高校で歌われたものが起源といわれ、応援歌や送別歌など当時の学生が作ったり歌ったりした2千を超える曲があるという。今回は44曲を選んだ。
岸保さんは太平洋戦争中に旧制浪速高校で学んだ。寮歌は開校記念日にあたる記念祭で歌われる華だった。自分が作詞した曲が寮歌に選ばれたこともあったという。戦時下で、学生の活躍を願う歌を海軍服にマントをまといながら歌ったことを覚えている。「身のほど知らずの戦争をしているとも知らず、厳しい中で記念祭を開いてもらえたことが喜びでした」
戦後、各地で旧制高校の卒業生…