米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官の解任をめぐり、トランプ大統領は12日、会話の録音テープの存在を示唆してコミー氏を威嚇するような言動をした。民主党側からは「犯罪」との批判も出ている。
前FBI長官を威嚇ツイート 情報流出恐れ?トランプ氏
発端となったのは12日朝の「コミーは報道機関に情報を漏らすのを始める前に、我々の会話の録音テープがないと願えばいいさ!」というトランプ氏のツイートだった。コミー氏が何らかの内幕を暴露するのを嫌って牽制(けんせい)したとみられる。
下院司法委員会のコンヤーズ議員(民主)らは12日、関連する全ての録音テープの議会への提出をホワイトハウスに書簡で要求。FBIは昨年の大統領選をめぐり、ロシアの介入とトランプ氏陣営の関係を捜査している。書簡はトランプ氏に「脅しと捜査妨害の可能性がある」と断じた。
ロイター通信によると、コミー氏は、上院情報委員会が求めていた16日の証言を辞退。当初は非公開での証言に応じる姿勢を見せていたという。
トランプ氏の言う「録音テープ」は、1月に会食した時のものとみられる。米メディアは、この場でトランプ氏がコミー氏に忠誠を求め、拒否されたと報道。トランプ氏はこれを否定し、コミー氏に「あなたは捜査対象ではない」と伝えられたと主張する。
トランプ氏の矛先はメディアにも向かった。12日のツイッターで、批判的な報道機関を「うそつきメディア」と非難。「今後、記者会見をすべて取りやめ、書面回答にするのがたぶん一番いい」とした。長官解任をめぐっては、報道官らの説明に一貫性がないと批判されている。トランプ氏は「完全に正確さを持って会見場に立つのは不可能だ」と強弁した。
ホワイトハウス記者協会(WHCA)のジェフ・メイソン会長は12日、会見がなければ政府の透明性が損なわれるとして、「憲法で保障された原則を脅かすいかなる動きにも反対する」と声明を出した。(ワシントン=杉山正)