国道沿いに設けられた「交通事故死ゼロ全道一」の看板=北海道西興部村
北海道北東部の西興部(にしおこっぺ)村(人口約1100人)で、「交通事故死ゼロ」が8千日以上(約22年3カ月)続いている。離島を除き、国道のある全国の市町村の中でトップの長さだ。記録の裏には、村民たちの地道な努力と強い思いがあった。
北海道・西興部村で交通死ゼロ8千日祝う
「車が来てないか、ちゃんと見てよー」。午前8時前、西興部小学校(児童数32人)前の国道239号の横断歩道で、交通指導員の村議近藤悦子さん(62)が児童らに声をかける。
指導員歴は20年以上。ほぼ毎日朝5時に起き、7時半前には国道沿いに立つ。「目の前の子どもを守りたい」と話す。
西興部村は東京23区の約半分にあたる308平方キロ。1995年1月31日以来、8140日間(5月14日現在)交通事故死ゼロが続いている。その前にも「4283日間ゼロ」を記録した。
事故死ゼロをアピールし、全国の記録を調べている長野県王滝村と朝日新聞の取材によると、継続中の自治体では西興部村は6位。ただ上位3村と5位は離島で、4位の王滝村は国道がない。西興部村には総延長21・7キロの国道239号があり、建築資材を運ぶトラックなどが1日あたり1031台通る(2010年度)。離島以外で国道がある市町村では、全国で最も長く「事故死ゼロ」が続いていることになる。
取り組みは村ぐるみだ。毎年6…