デビュー戦で初トライを決めた松田凜日選手
ラグビーワールドカップ(W杯)の日本代表に4度選ばれるなどFBとして一時代を築いた松田努さん(47)の娘、松田凜日(りんか、15)=国学院栃木高1年=が14日に秋田市で行われた女子7人制ラグビーの国内大会「太陽生命セブンズ」でデビューし、いきなり2トライをマークした。父譲りの長いストライドで防御をかわした将来の有望株は、2020年東京五輪を目指す。
松田は日本協会のユースアカデミー出身者などで構成するチャレンジチームの一員として、自衛隊体育学校との試合に先発した。前半4分、敵陣22メートル付近でパスをフリーで受けると楽々とトライ。6分にも防御の裏に出てパスを捕球し、追いすがる選手を歩幅の長いランで振り切ると、約40メートルを走りきって二つ目のトライを決めた。松田は「スピードやステップを使った、自分らしさが出たトライ」と喜んだ。
父の努さんは東芝府中の選手として活躍し、W杯にも出場した。現在、19年W杯のアンバサダーを任されるラグビー界の顔だ。父がジュニア教室の指導をしていた縁で、松田は小学3年からラグビーを始めたが、「父が代表の選手だということも知らず、試合会場に行ってもまともに見たことがない」。今も「あまり興味がない」と現役時代の試合映像を見ることもないという。
ただ、しっかりと長所を受け継いだのだろう。日本代表の稲田仁監督代行は「父親譲りの走りですよね」。169センチ、69キロと日本選手としては恵まれた体格で足も速く、ステップなどの動きのキレが「今の代表にはいないタイプ。ゲームメーカーとしてやらせたい」と高く評価しており、日本協会は近く、代表入りさせる方針だ。
当の松田は「体力が全然足りないし、代表クラスでは全然下の方。もっと頑張らないといけないけど、東京五輪には絶対出たい。たくさんトライを取りたいです」。父はW杯、娘は五輪――。ダブル出場の夢への一歩を歩み始めた。(能田英二)