佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第4局が16日朝、岐阜市の旅館「十八楼」で始まり、午後7時18分、佐藤名人が54手目を封じて1日目を終えた。
対局をタイムラインで
持ち時間各9時間のうち、消費は稲葉挑戦者が4時間22分、佐藤名人が4時間27分。17日朝に再開し、夜までに決着する見込み。
ここまで2勝1敗とリードしている稲葉挑戦者の作戦は、得意の角換わりだった。佐藤名人は△6二金から△8一飛と、攻めと守りにバランスのとれた流行の陣形に構えた。対する稲葉挑戦者は堅陣を築き、穏やかな駒組みがしばらく続くかと思われた。
だが、佐藤名人の△4四歩が決断の仕掛けで、局面は緊迫した。稲葉挑戦者の▲2六飛に対する佐藤名人の長考は1時間を超え、封じ手の定刻を50分近く過ぎて、1日目が終わった。
解説を務める副立会人の糸谷哲郎八段は「△4四歩は佐藤名人が研究していた手なのでしょう。稲葉挑戦者の意表をついたと思います。先手がどう攻めの手をつなげるかが焦点です」と話した。(村瀬信也)
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〈指し手〉先手・稲葉八段 ▲7六歩△8四歩▲2六歩△3二金▲7八金△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△2二銀▲4八銀△6二銀▲4六歩△4二玉▲4七銀△7四歩▲5八金△1四歩▲1六歩△6四歩▲6八玉△6三銀▲5六銀△7三桂▲4五歩△6二金▲6六歩△8一飛▲3六歩△3三銀▲3七桂△9四歩▲9六歩△5二玉▲2五歩△6一玉▲7九玉△7二玉▲4六角△5四歩▲8八玉△4二金▲6八金右△5二金左▲9八香△4四歩▲2四歩△同歩▲3五歩△同歩▲2六飛