2018年度に開始予定の新専門医制度をめぐり、国立大学医学部長会議は17日、東京都内で記者会見を開き、地域医療への影響を懸念して見直しを求めている全国市長会に対し、「重大な事実誤認がある」として反論した。
全国市長会はこれまで、新専門医制度によって研修施設となる大学病院や大病院の所在地以外の医師不足が助長されたり、若手医師が論文発表のために医局生活を強いられたりするなどと指摘。4月、制度を進めることに反対する要望書を塩崎恭久・厚生労働相に提出した。
これに対し、同会議を代表して会見した内木(ないき)宏延・福井大学医学部長は「医学は急速に進歩しており、医師は常に新しい医療を学ぶ必要がある」と述べ、新専門医制度による医師の質の保証や均質化が大学の責務だと説明。「論文発表のような学術活動は医師の日常活動で、医局生活を強いるものではない」と話した。
また、全国市長会が指摘する医師の偏在の原因については、「2004年に始まった臨床研修制度にあると考えている。大学は所在県の医療機関で、ベストな医師配置を目指して努力している」と語った。(野中良祐)