部活動の負担が生徒、教職員ともに重くなっているとして、川崎市教育委員会は今月、「1週間に少なくとも1日の休養日設定」などを各市立中学校に求める方針だ。市教委は部活動の教育的意義を認めつつ、行きすぎた指導や勝利至上主義に偏ると「様々な無理や弊害をうむ可能性がある」と判断。運営の適正化を進める。
市教委によると、各校には、ほかに「学校や部活動ごとに週の休養日以外の『ノー部活動デー』を月の予定に設ける」「朝練習をする場合、生徒、家庭、教職員の過度の負担とならないよう計画的に行う」ことを求める。朝練については、平日は原則午前7時半以降に始め、7日間連続させないよう依頼する。
市教委は昨年度、市立中の2年生や教職員らを対象に調査を実施。生徒や教職員の3割弱が週に7日間、部活動をしていた。また、教職員の4割強が、日常の部活動の指導を負担に感じていると回答。さらに、教職員の約半数が「担当している部活動の競技・活動経験がない」、約2割が「定期的な休養日を設けていない」と回答したという。
こうした調査も踏まえ、市立中の校長らでつくる専門会議で部活動のあり方について検討。市教委は部会の提案を受けて、生徒にも教職員にも望ましい部活動になるよう、バランスのとれた部活動運営を学校側に求めることを決めた。
■負担増す先生「ゆとり必要」
「先生にはゆとりが必要。そうでないと子どもを受け止められなくなる」
2年前まで川崎市立中の教員だった60代の男性は、そう語る。
長く運動部の顧問を務めてきた。この10年ほどで、部活動の試合や授業が増えるなどし、負担が増したと感じたという。「それでもベテランは経験でやりくりできる部分もあるが、若い先生は部活動と授業を両立させるのが大変そうだった」と振り返る。
教員の多忙化は全国的な問題になっている。国が4月に公表した公立校教員の勤務実態調査によると、中学校では2016年度、学内だけで平日1日あたり平均11時間32分働いており、06年度と比べて32分増えた。「脱ゆとり」を目指した08年の学習指導要領改訂で、授業時間が多くなったことが主な理由とみられる。中学校では土日の部活動の指導時間も1日あたり平均2時間10分に達し、10年前からほぼ倍増した。
国は年度内に適切な部活動のあり方に関するガイドラインを設ける予定だ。川崎市教委は「まずは市として、できるところから適正化に取り組む」としている。(河井健)
■公立中学校教諭の1日あたりの仕事時間
【16年度】 【06年度】
平日学内勤務 11時間32分 11時間00分
平日持ち帰り 20分 22分
土日学内勤務 3時間22分 1時間33分
土日持ち帰り 1時間10分 1時間39分
※文部科学省の調査から