約1カ月ぶりに再開された衆院憲法審査会=18日午前、岩下毅撮影
衆院憲法審査会が18日、約1カ月ぶりに議論を再開した。安倍晋三首相が2020年に改正憲法の施行をめざす意向を明らかにしてから初めての審議。野党からは「国会の権限への介入だ」と首相批判が相次いだが、自民党はまともにとりあわない。与野党が合意できる改憲案を模索するという、審査会のこれまでの協調路線の実質的な破綻(はたん)があらわになった。
「首相の発言は、国会の立法権を侵害すると同時に、議事の混乱を引き起こす行為だ」。民進党の中川正春氏はこう批判し、首相への抗議と発言撤回を求める決議を要求した。
共産党の赤嶺政賢氏も「三権分立に反する」と指摘するなど、日本維新の会を除く野党は一様に首相を批判した。
審査会の開催は、首相発言の影響で1週間延期された。与党筆頭幹事の中谷元氏が「2020年施行に縛られない」などと釈明してようやく再開にこぎつけた経緯がある。森英介・審査会長(自民)も審議の冒頭で「引き続き、公正円満な運営に努める」との姿勢を改めて示した。
しかし、自民の低姿勢はそこまでだった。
自民で協調路線を担ってきた船田元氏。赤嶺氏から方針転換したのかと聞かれると「行政の長は(改憲論議に)抑制的であるべきだというのが私の心。そこは微動だにしていない」と答えたが、「しかしながら、そろそろ具体論を議論しようという時期がきた」。