沖縄県の尖閣諸島沖の日本領海に中国公船が侵入し、甲板付近で小型無人飛行機ドローンとみられる物体の飛行が確認されたことについて、菅義偉官房長官は19日の記者会見で「中国による新たな形態の行動だ」と述べ、懸念を表明した。日本政府は、ドローンによる領空侵犯への対策づくりを急ぐ構えだ。
尖閣に中国ドローン?空自の緊急発進公表 稲田防衛相
自民党は19日、領土に関する特命委員会でこの問題を議論した。新藤義孝委員長は記者団に「ドローンに対してどういう対策を打てるのか研究が必要だ」と強調。来週にも首相官邸に具体的な対応策を求める決議を提出する考えを示した。
尖閣周辺の領海に侵入した中国公船付近でドローンとみられる物体の飛行が確認されたのは18日が初めて。航空自衛隊のF15戦闘機など計4機が緊急発進(スクランブル)する事態になり、外務省は中国側に強く抗議した。
菅氏は19日の会見で「一方的なエスカレーションで全く受け入れられない」と批判し、稲田朋美防衛相も「深刻な我が国の主権への侵害」と語った。防衛省幹部は「新手の領空侵犯で、警戒監視や情報収集などが考えられる」と指摘。別の幹部は「今回は船から飛ばしたから分かったが、小型化、高性能化が進めば対応が難しくなる」と話す。
一方、日本側の抗議に対し、中国外務省の華春瑩副報道局長は同日の会見で「中国海警局が飛ばしたのではなく、メディアが空撮のために使用したものだ」と主張。「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土。中国海警局の船が釣魚島海域で行う巡航や関連活動は中国固有の権利だ。日本の抗議は受け入れることができない」と反論した。(松井望美、北京=西村大輔)