銀行カードローンの実態を朝日新聞が調査
銀行の無担保の個人向け「カードローン」で、多くが消費者金融会社には禁じられている「年収の3分の1超」の貸し付けを行っていることが、朝日新聞の調査でわかった。年収を上回る貸し付けもあり、貸付額の上限がない銀行が高額な貸し付けを行っている実態が明らかになった。
「年収3分の1」規制、銀行カードローンなぜ規制外
転落の始まりは10万円 銀行カードローンで狂った人生
全国銀行協会の正会員120行に対して4月中旬に書面で聞き、101行が回答した。カードローンを提供しているのは96行。貸付額が「年収の3分の1を超える」のは80行で、うち19行は年収を超える場合もあるとした。「3分の1を超えない」は3行だった。13行は回答しなかった。
改正貸金業法で消費者金融は「年収の3分の1超」の貸し付けが禁止されているが、銀行は対象外だ。アンケートで銀行にも「3分の1超」を規制すべきか尋ねたところ、「不要」が35行、「必要」は4行だった。62行は「わからない・未回答」とした。不要とした銀行は「適切に判断できる」「まとまったお金が必要な場合がある」、必要だとした銀行は「消費者の保護を優先すべきだ」などとコメントした。
規制の必要性は認めつつ「一律に年収3分の1以下とするのは疑問」「保証会社に審査を任せる場合だけ規制すべきだ」との意見もあった。
多重債務への懸念から、日本弁護士連合会は銀行への規制を求めている。全銀協は消極的だが、3月に過剰融資の対策を各行に求めた。アンケートでは77行が「対応している」とし、具体策として、広告の見直しや審査の厳格化を挙げた。(河合達郎、藤田知也)
■銀行カードローンに関するアンケート結果と主な意見
(全国銀行協会加盟の正会員120行に書面で聞き、101行が回答)
●カードローンの提供は?
している=96行
していない=5行
●単独で年収の3分の1超を貸し付けることは?
ない=3行
3分の1超はあるが年収は超えない=61行
年収を超える貸し付けもある=19行
●貸金業と同様に、銀行も貸付額を年収の3分の1以内にする規制は必要?
必要=4行
不要=35行
わからない=44行
●年収の3分の1超の貸し付けは、消費者に利便性がある?
ある=45行
ない=3行
わからない=34行
●全国銀行協会が求めた過剰融資対策への対応は?
している=77行
していない=6行
■銀行から寄せられた主なコメント
・低所得者や高齢者が生活費に利用。一律に規制すると生活に困る人も
・規制すれば、利用者が高金利の業者に流れる可能性がある
・一時的な大口支出に応える利便性がある
・借金を一本化する「おまとめローン」は、利息負担を軽減できる利点がある
・教育費や医療費に使われる場合もある
・消費者保護を優先して規制すべきだ
・銀行が自分で審査しない場合は規制を設けるべきだ
・銀行は信用がすべて。貸し手として責任を持たないといけない
・貸金業者への規制の抜け道に銀行が利用されている肌感覚がある
・自己破産の温床となる懸念がある。利便性が高いとは言いにくい