文書について記者の質問に答える松野博一文科相=19日午後4時17分、東京・霞が関の文科省、金川雄策撮影
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画をめぐり、文部科学省が内閣府から「総理のご意向」などと言われたとする文書について、松野博一文科相は19日、「該当する文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を発表した。一方、民進党は「恣意(しい)的で、結論ありきの調査だ」と反発。文書がないことが確認されたものではないとして再調査を求める。
文科省の調査は、獣医学部設置に関係する高等教育局長や大臣官房審議官、専門教育課長ら7人に対して行われた。民進党が国会で示し、同省に提供した文書8枚に加え、具体的な日付や内閣府、文科省の職員の実名が入った文書を報じた朝日新聞の記事を提示したうえで、19日に1人当たり約10~30分程度聞き取りをした。電子データについては、専門教育課の共有フォルダーだけを調べた。
文科省によると、文書を作ったことがあるか、他の職員と共有したことはあるかなどを聞いたところ、7人は「見た記憶はない」「作成したことはない」などと回答。文書にある「総理のご意向だと聞いている」などの文言についても内閣府側から言われた記憶がないと答えたという。
電子データについては、7人が個人で省内で使うパソコンのデータや、共有フォルダーの削除履歴は調べていないという。同省の義本博司総括審議官は、個人管理のパソコンに文書がないかどうかは「わからない」とする一方、「聞き取りや共有フォルダーの確認で足りている。(追加調査は)必要ない」と述べた。